塩ビパイプや塩ビ管のVP管とHIVP管の違い、規格、耐衝撃、耐熱温度、耐圧力、色、試験方法を説明します。
HIVP管(耐衝撃性硬質ポリ塩化ビニル管)は、VP管の割れやすいという弱点を克服し、用途を広げた製品です。
目次
HIVPは衝撃に強い
通常のVP管は衝撃に対する強度が低く、施工中や利用中に破損する事がありました。
また、低温時はさらに耐衝撃性が低下し割れやすくなるため、寒冷地を中心として問題となる欠点を抱えていました。
そのため素材を改良し、衝撃に対する性能を大幅に強化したのがHIVP管です。
HIVP 強さの理由
通常の塩ビ樹脂に、耐衝撃性改良剤(ABS,MBS,EVA,アクリルゴム,塩素化ポリエチレンなどのゴム特性を有するもの)を強化剤として混合しています。
この強化剤を5-20%程混ぜることで、強化剤の粒子が衝撃エネルギーを吸収し粘り強くなるため、破損を防ぎます。
HIVPとVPの性質/性能
物的性質
- 色
HIVP管は灰青色、VP管は灰色です。
塩ビは本来透明ですが、混ぜられている顔料の違いにより色が異なります。 - 比重
HIVP管は1.40、VP管は1.43です。
機械的性質
- かたさ、曲げ強さ、圧縮強さ
HIVP管、VP管ともに同じ強度です。 - 引張強さ
HIVP管(40MPa以上)、VP管(45MPa)以上と、VP管の方がやや強いです。 - 衝撃強さ
HIVP管はVP管よりも、3-5倍程度の強度があります。
熱的性質
- 線膨張係数、比熱、熱伝導係数
HIVP管、VP管ともに同じ性質で、優れた性能を有します。 - 軟化温度、使用限界温度
HIVP管、VP管ともに60度以上は使用できません。 - 低温時の性能
HIVP管は低温時に割れやすいというVP管の弱点を克服しました。 - 難燃性
どちらも自己消火性を有します。
電気的性質
- 耐電圧、体積固有抵抗、誘電率、力率
HIVP管、VP管ともに同じ性質で、優れた性能を有します。
JISに規定されている具体的な性能項目
HIVPの性能は、JISにおいて下記の基準が定められています。
これをもとに各メーカーが素材等を配合し、それぞれの特色を出しています。
HIVPの試験方法
衝撃に強いHIVPですが、その試験方法も定めされています。
どのようにテストするのかと思い調べてみると、以外とアナログな方法でした。
試験装置
この図は試験装置の一例です。試験片の上から重鐘を自由落下させ、破損度合いを確認します。
試験方法
試験片を、0℃±3℃で60分以上の環境で状態調節後、試験片を試験装置の受け台に静置し、常温の試験室内で速やかに試験を行います。
呼び径により重鐘の形状と質量、そして落下高さが異なります。
判定
試験後の試験片状態により、判定を行います。
-判定条件-
5個の試験片のすべてが破壊度1-3の場合は、”異常なし”とする。
5個の試験片のうち、2個以上が破壊度4-10の場合は、”異常あり”とする。
5個の試験片のうち、1個が破壊度4-10の場合は、再度5個の試験片について試験を行い、すべての試験片が破壊度1-3の場合は、”異常なし”とする。