塩ビパイプや塩ビ管のVP管とHT管(HT,HTVP)の違い、規格、耐熱温度、耐圧力、色を説明します。
HT管(耐熱性硬質ポリ塩化ビニル管)は、VP管の耐熱温度に対する弱点を克服し、用途を広げた製品です。
目次
HTは熱に強い
通常のVP管は熱に対する耐性が低く、高温の給排水では使えないという弱点がありました。
そのため素材を改良し、高温に対する性能を大幅に強化したのがHT管です。
ただし、流体の温度差によって伸縮するため、破損防止のため配管経路の最適化や、HT伸縮継手等の利用による伸縮処理が必要となります。
HT 耐熱の理由
通常の塩ビ樹脂に、耐熱樹脂(耐熱ABS樹脂、後塩素化塩ビ樹脂等)を混合しています。
この強化剤を混ぜることで、熱変形温度や軟化温度を向上させます。
使用温度(耐熱)と使用圧力(耐圧)
使用温度 (℃) | 5-40 | 41-60 | 61-70 | 71-90 |
設計圧力 (Mpa) | 1.0 | 0.6 | 0.4 | 0.2 |
HTとVPの性質
物的性質
- 色
HT管は茶色、VP管は灰色です。
塩ビは本来透明ですが、混ぜられている顔料の違いにより色が異なります。 - 比重
HT管は1.48、VP管は1.43です。 - かたさ
HT管はVP管よりも柔らかいです。
機械的性質
- 引張強さ、曲げ強さ
HT管はVP管よりもやや強いです。 - 圧縮強さ
HT管とVP管は同等です。 - 衝撃強さ
HT管とVP管は同等です。
熱的性質
- 線膨張係数、比熱、熱伝導係数
HT管、VP管ともにほぼ同じ性質で、優れた性能を有します。 - 軟化温度、使用限界温度
HT管90度、VP管60度です。 - 難燃性
どちらも自己消火性を有します。
電気的性質
- 耐電圧、体積固有抵抗、誘電率
HT管、VP管ともに同じ性質で、優れた性能を有します。